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【本/推し】『ELVIS What Happened?』第9章の感想など<その2>

こんにちは、ずず(zuzu)です。

『Elvis:What Happened?』の第9章の感想などを、引き続き書きますね。

レッド・ウェストは、ミュージシャンになりたかったことや、見かけによらず繊細な感性を持っていることを表に出すことはなく、タフガイとなって、南部の男として生きやすい道を選びました。

しかし、エルヴィス・プレスリーは違ってたと、レッドは語っています。

エルヴィスはひとりっ子で、子煩悩で献身的な母親、グラディス・プレスリーがいつもそばにいたからです。

グラディスは近所の子どもたちとは一線を画し、エルヴィスが12〜13歳になるまで通学に付き添っていました。

これまでのところ、レッドは一貫してグラディスを神格化(?)しています。

グラディスはエルヴィスを溺愛して甘やかしていたのではないと、レッドは断言していました。

グラディスの優先順位は、エルヴィス、夫のヴァーノン・プレスリー、そして教会でした。

グラディスはエルヴィスに家計が苦しいことを気にしなくてもいいように、縫製工場で働くほか、ウェイトレスや看護助手として身を粉にして働き、家計の足しにしていたそうです。

片やヴァーノンは、ペンキを缶詰にするというひどく退屈で、それほどハードワークではない仕事をしていました。

 

15歳になったエルヴィスは、映画館で夜間のアルバイトを始め、稼いだお金をグラディスに渡していました。

ところが、授業中に居眠りをするようになったため、グラディスはアルバイトを辞めさせます。

その後、エルヴィスはモール・メタル・カンパニーという会社で働き始めましたが、またもや居眠りを始めたので、グラディスは”仕事は辞めなさい。うちは貧乏ではありません”と言って、仕事を辞めさせました。

家計は苦しくなったため、グラディスはまた病院で働き始めました。

グラディスの体調はとても悪かったのですが、不平不満は言わなかったそうです。

 

プレスリー家に貧乏が根ざしたのは、1935年1月8日の昼の悲劇でした。

グラディスのお腹はとても大きかったので、近所の人は双子ではないかと思っていたようですが、医者は笑っていたとのこと。

南部の貧しい白人は、黒人も同様に、出産のため入院することができませんでした。

エルヴィスがチューペロの自宅で誕生した瞬間、グラディスはまだ陣痛に襲われていたとのこと。

なぜなら、お腹にもうひとり赤ちゃんがいたから。

エルヴィスの双子の兄弟は、お腹の中で亡くなっていました。

エルヴィスは落ち込んだときに、

「クソッタレ、オレの小さな兄弟は死んで、ママは死にかけた。病院に行く余裕がなかったからだ」

とよく言ったそうです。

だから、エルヴィスは旅に出るときは、ほぼ主治医を連れていました。

レッドは、エルヴィスがグラディスの自己犠牲により成り立っていると言っています。

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今日はここまでとします。

バイト代を全額グラディスに渡していた若きエルヴィスが、成功して大金を手にして浪費家となったのは、買い物が単にストレス解消だったのでしょうか。

 

また、グラディスは自分のことは二の次で、エルヴィスを最優先にして生きてきました。

レッドはグラディスのことを案じながらも、称賛しています。

ですが、現在の価値観では、グラディスの生き方はセルフネグレクトに当たるような気がします。

中庸の生き方ができない?しない?のは、エルヴィスだけでなく、グラディスも同じですね。

レッドのグラディス崇拝は、第9章の終わりで納得の展開を迎えることになります。

またね。