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【本/推し】『ELVIS What Happened?』第9章の感想など<その1>

こんにちは、ずず(zuzu)です。

今日から『Elvis:What Happened?』の第10章の感想などを綴っていきます。

第10章は、次の文章から始まります。

Presley is a mass of paradoxes, contradictions, complexities.

Dunleavy, Steve . Elvis: What Happened? (p.99). Ballantine Books. Kindle 版. より引用

英語が苦手なら、日本語能力もイマイチな私。

’paradox’と’contradiction’の意味を調べると、いずれも'矛盾'でした。

一般的に’矛盾’は'contradiction'らしいので、'paradox'はあくまでもイメージですが、地に足がついていなくて定まっていない感じ、'言論と現実のギャップ、乖離'って感じなのかな?

ともかくエルヴィス・プレスリーは、非現実的で、矛盾だらけで、錯綜している、ということなのでしょう(笑)

デイヴ・ヘブラーはエルヴィスの未成熟さを、食事に例えています。

エルヴィスは突然ある食べ物を好きになると、1日に4回それを食べ、それを毎日1ヶ月続け、しまいには吐くまで食べ続けると。

個人的には、何を食べたのか知りたいですが(違うか)。

 

本章では、エルヴィスが大人になれなかったのは、21歳という若さで大成功を収めたからで、成熟する必要がなかったためだといっています。

エルヴィスは、なんとか生き延びただけでなく大金持ちになった、数少ないピーターパンのひとりなんだそう。

しかし、その根本は17歳から高校を卒業するまでに、形付けられたとのこと。

南部の極貧の出身であるにも関わらず、エルヴィスは大人になることに混乱し、ぼんやりしていたといいます。

貧しい南部の生まれであれば、将来の目標は単純で、多くの場合、レッド・ウェストのように実直で、荒々しく、タフな男になるのがたやすいとのこと。

当時の半封建的な南部では、将来の選択肢が少なく、レッドのような元気のいい若者は、夢を持つことは許されず、内に秘めておくものだったのだそうです。

 

ここで、レッドが語り始めます。

自分はそんなに混乱していなかった。

いつもミュージシャンになりたい、アメフトの選手もまあいいけど、と思っていた。

でも、夢が叶うとは決して期待していなかった。

自分は田舎者で、アメフトで戦うことが自分の役割だった。

自分は崩壊した家庭(broken home)の出身で、父親も同じだった。

だから自分にとっては、定職に就いて、ビールが飲めるくらいには稼いで、家庭を持つのが最良の希望だったと。

 

当時、多くの南部の青年にとって、安定した職としてベストだったのは、朝鮮半島ベトナムで戦うことでした。

それで、レッドは海兵隊に入りましたが、その後のことは考えていなかったそうです。

レッドは赤毛の気性や腕っぷしの強さにも関わらず、とても感受性が強いことを、のちに作詞をすることで証明しました。

しかし、レッドが持つ感性は、人生の早い段階で表に出ることはありませんでした。

エルヴィスと出会ったとき、そういった感性は見せないほうがいいと思ったからだそうです。

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第10章はちょっと感動しました。

初めに読んだとき、レッドが育った'broken home'は、'廃屋、ボロ家'だと解釈していました。

レッドも貧しかったんだなーと思っただけです。

再読して意味を整理していて、何か違うなと辞書を引くと、'崩壊した家庭'とありました。

レッドは確か、エルヴィスやソニー・ウェストと同じ、低所得者用のプロジェクトに住んでいたはず。

だから、'壊れた家'ではなく、やはり'崩壊した家庭'が正しいと思います。

頼り甲斐のあるレッドが、実は崩壊した家庭で育ったことに驚きました。

そのことが自分の中で、このあとのストーリーに繋がってビビりました…

 

それと、レッドはいつもミュージシャンになりたいと思っていたと語っています。

第一希望はアメフトの選手ではなく、ミュージシャンでした。

このことをエルヴィスに話したことはあったのでしょうか?

エルヴィスは知っていたのか、それとも気づいていたのか、全く知らなかったのか。

ともあれ、エルヴィスとレッドの友情はとてつもなく深く、複雑な感情が入り乱れているような気がします。

またね。