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【本/推し】『ELVIS What Happened?』第6章の感想など<その6><ネタバレあり>

こんにちは、ずず(zuzu)です。

『Elvis:What Happened?』第6章はラストでマジ泣きしました。

それは、エルヴィスとレッドは本物の友情を育んでいたことを知ったからです。

レッドはエルヴィスと同じ高校の1つ年下で、同級生からいじめられていたエルヴィスを救いましたが、その後はあいさつ程度の付き合いしかなく、エルヴィスが売れっ子になった時に、レッドが運転手を買って出た程度の関係だと思っていました。

しかしそれは、ただの思い込みだったのです。

今回は、レッドが語るエルヴィスとの友情について書いてみたいと思います。

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高校のアメフト部の遠征のため、スクールバスに乗り込もうとしたレッドは、反対側の道路で古いリンカーンに乗り込もうとするエルヴィスに気づき、手を振って大声であいさつしました。

そのときのエルヴィスはすでにサン・レコードで録音した『ザッツ・オール・ライト』がメンフィスのラジオ局でヒットしており、服装はバッチリきまっていたそうです。

当時のメンフィスでは、地元のラジオ局に出演することは、ちょっとした有名人になったことを意味し、映画俳優と同じようなものでした。

エルヴィスはレッドに手を振り返しましたが、プチセレブとなったエルヴィスが手を振り返したことに、レッドは感銘を受けたそうです。

スクールバスが発車すると、エルヴィスはバスをリンカーンで追いかけました。

試合中、レッドは近くにエルヴィスがいることに気づいており、試合が終わってもエルヴィスが近くでぶらぶらしていると聞いたレッドは、エルヴィスにあいさつに行きました。

エルヴィスは体格が良くなり、ニキビに悩まされてもおらず、髪型も以前に比べるときちんとしていて、脂ぎった不良少年のような外見がなくなっていて、エルヴィスは本物のイケメンになる素質を持っているとレッドは感じたそうです。

エルヴィスはレッドに会えたことを本当に喜んでいるようで、

「レッド、どうしてる?いい試合だったね」

と言いました。

レッドはエルヴィスが温かく、フレンドリーだったことがとてもうれしかったそうです。

「君はトップレベルになったね。いたるところで君の音楽が聴こえるよ。すごいな。君はスターだよ」

とレッドが言うと、ちょっとした有名人になったにも関わらず、エルヴィスはまだレッドに少し畏敬の念を抱いていて、恥ずかしそうに微笑んだそうです。

レッドは、このときのお互いの心の内を、次のように振り返っています。

It was almost as if Red was the guy that Elvis wanted to
be. “Right then,” says Red, "Elvis was the guy I wanted to be.”

Dunleavy, Steve . Elvis: What Happened? (pp.66-67). Ballantine Books. Kindle 版. より引用

エルヴィスはレッドに、レッドはエルヴィスになりたかったかのようだったと。

ここで涙腺崩壊しました。

エルヴィスとレッドは、人柄も才能も全く異なる相手を、まさかお互いリスペクトしていたなんて…

 

ふたりで車まで歩いて行くと、エルヴィスはレッドにリンカーンに乗るように言い、レッドは快諾します。

レッドはエルヴィスに今何をしているのか聞きましたが、エルヴィスはまだ少し自信なさげに見えたそうです。

面倒なことには言及せず、レッドが退散しようとしたとき、エルヴィスは突然、

「週末の夜に会わないか?君が都合がいいときに」

と言い、

「了解、楽しそうだね」

とレッドは返事をして、ふたりの友情は始まりました。

 

第6章をレッドは次のように締めくくっています。

あの瞬間から、1976年7月に生涯にわたる友情がバラバラになり始めるまで、自分はエルヴィスの仲間であり、友だちであり、護衛であり、もしエルヴィスの双子の兄が生きていたならそうしたように、エルヴィスを見守っていた。

エルヴィスとはたくさん笑って、たくさんいい時間を過ごして、もちろん辛いこともたくさんあった。

残念なことに、長い年月の間にエルヴィスは変わってしまったけど、レッドは'sonofabitch'のことがどんどん好きになっていった。

いろいろあったけれど、これからもずっと愛し続けるだろうと。

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でもね…

エルヴィスは生まれ変われるとしたら、もうエルヴィス・プレスリーはやりたくないんじゃないかな。

今度こそ、学生時代はレッドのようにアメフトの選手として活躍し、メンフィスで仕事を見つけ、両親のそばで平穏に暮らし、レッドのように生涯妻と添い遂げたいと願っているような気がするのです。

 

またね。