こんにちは、ずず(zuzu)です。
今日もまた、エルヴィスについて書いていきます。
毎度登場の、図書館で借りて読んだ『エルヴィス、最後のアメリカン・ヒーロー』で気づいたこと。
エルヴィスのウィキペディアの項目に”ニクソンとの面会”があるくらい、1970年12月、エルヴィスが時の大統領に手紙を持参し、ホワイトハウスでの面会を取り付け、希望した麻薬取締官に任命されたことは、エルヴィスを語る上で欠かせないエピソードのようです。
本書によると、一連の行為はエルヴィスの人生の中で突飛とも思える出来事とのこと。
政治的に強い信条を持たない、発言をしないエルヴィスでしたが、民主党のケネディ大統領を推していたこともあったのに、共和党を称えているのです。
エルヴィスがこのような行動をとった要因は、父ヴァーノンと妻プリシラに浪費をとがめられた腹いせとも、バッジ収集の趣味とも、アメリカの若者の諸問題を大統領に直訴するためだったとも言われているとのことでした。
エルヴィスがニクソン大統領にしたためた手紙の内容は、本書に日本語で掲載されていますが、その文章は謙遜と自己顕示が共存していて、失礼ながら苦笑しました。
とはいえ、私はこの一件は殿のご乱心ではなく、エルヴィスなりに考えた末の行動だったと考えています。
エルヴィスが民主党のケネディを応援していたとしても、それは人物に好感を持っていたに過ぎず、基本的には南部の保守層の考えを持っていたと思うのです。
また、当時のアメリカの若者の問題の中でも、特にヒッピーについては、保守的なエルヴィスには受け入れ難い文化だったのではないでしょうか。
ヒッピーを取り締まる麻薬取締官に自分がなれないか(なったらバッジがもらえるし)、そうしたら我が祖国に貢献できる、、、と崇高なことを考えているのに、父と妻はお金のことで文句を言ってくる。
そのときこそが、エルヴィスにとっての機が熟したタイミングだったのだと思います。
たとえ他人から見て突拍子もない行動であっても、当の本人は大真面目だったと思うのです。
そして本書では、麻薬取締官に任命された9日後、今後は取り巻きを引き連れワシントンD.C.を再訪し、翌日、FBIの内部の見学を許されたとあります。
こちらに関しては、職権濫用に近いような気がしますが…
でも、こちらも当のエルヴィスは真剣だったのかもしれませんね。
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で、思い出したのが映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019年)。
ブラピとディカプリオのコンビが観たいというミーハー心で、映画館に足を運んだ作品です。
1969年、シャロン・テートというハリウッドの若手女優が殺害された事件のレクイエムらしき内容だったので、鑑賞前はシリアスで凄惨な作品だと構えていました。
ところが、実際は奇想天外なアクション映画で、ちょっと長いけど(2時間51分)、めっちゃ面白かったのでした。
で、この映画で、私のヒッピーへの認識が一変しました。
それまでは、映画でよく見かけるヒッピー族は、よくわからないけどファッション的にカッコいい生き方をしている人たちというイメージでした。
ですが、事件後50年でこのような映画を撮るのは、ハリウッドが、アメリカ社会が、ヒッピーをいまいましく思っているのだと解釈しました。
事件を風化させないため、次の世代に語り継ぐため、記録に残す。
天国のエルヴィスがこの映画を観ても、楽しめるんじゃないかな。
オレがヒッピーやってるよって(笑)
またね。