ずずぶろぐ

ていねいでない暮らし

将棋の駒で考えたこと

こんにちは、ずず(zuzu)です。

GWはいかがお過ごしですか?

昨日は、弟の家族がアポなしで帰省した話を書きました。

今日は、その日のエピソードから考えたことを書きますね。

老犬が噛んだ将棋の駒

小学生の甥は、うちに来ると将棋を指したがります。

私の父の趣味に将棋があり、将棋盤と将棋の駒が出しっぱなしなので、すぐに遊ぶことができます。

帰省した日は父が不在だったので、甥は弟と将棋を指し始めました。

しばらくして、

「これ、メイちゃんが噛んだのー」

と言って、私に駒をひとつ持ってきました。

それは、父が繰り返し話題にする”歩”の駒です。

”歩”の駒には予備があるので問題はないそうですが、

「メイが将棋の駒を噛んだ」

と、父が面白おかしく話すたびに、

「もし飲み込んだら、どうするの。危ないから絶対気をつけてよ」

と言い返していました。

老犬の小さな歯形がたくさん残る駒を、そのとき初めて手にしました。

なんだか泣けてきましたが、甥の前で泣くわけにはいきません。

ぐっとこらえて、駒をそっと祭壇に供えました。

私たち、将棋の”歩”みたいだよね

将棋の”歩”と言えば、印象的なドラマがありました。

1992年1月から3月にフジテレビで放映された青春ドラマ『愛という名のもとに』です。

その前の年は、同じ局で『東京ラブストーリー』が大ヒットしました。

主演が鈴木保奈美さんということで、『東京ー』の続編としての期待があってか、話題となりました(続編ではありません)。

 

『東京ー』と『愛とー』は、主人公がほぼ同世代でしたので、かなりの思い入れがありました。

放映されると、同い年の同僚と感想を報告し合っていましたね。

『愛とー』は、『東京ー』のようなコテコテのラブストーリーではありませんでした。

大学時代の仲間7人の卒業後の人生が、バブル崩壊を背景に、恋愛をからめつつ、みずみずしく描かれていました。

ドラマが放映されしばらく経ったとき、同僚と私は、ストーリーの根底にあるスクールカーストのようなものを感じ取りました。

当時、スクールカーストという言葉や概念はなく、

「仲間内の優劣とか力関係を、このドラマが表現しているとしたら、すごいよね!」

と熱く語り合ったことを覚えています。

 

そして、私たちの予想は的中しました。

7人のうち、洞口依子さん演じる、子どもっぽい性格のノリが、中野英雄さん演じる、今でいうイジられキャラのチョロに、

「私たち、将棋の"歩"みたいだよね」

と自虐的に言い放ったのです。

グループでは、鈴木保奈美さん演じるタカコが王将で、金・銀(飛車・角?)が王将の両脇を支えて、役に立つ桂馬もいるけど、自分たちはただの”歩”だと。

あまりにも残酷な言葉に、当時の私はショックを受けました。

”歩”がいるから王将でいられる人がいると、今でこそ言えますが。

 

学生時代の見えないカーストを引きずって生きている大人は、どれだけ存在するのか。

それに甘んじる人もいれば、距離を置く人もいるでしょう。

そんなことを考えながら、たくさんの悲しみが雪のように溶けていくことを願うばかりです。

またね。