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【本/推し】『ヒルビリー・エレジー』(2017年)の感想など<番外編>

こんにちは、ずず(zuzu)です。

J.D.ヴァンス著ヒルビリー・エレジーの感想、今日は'推し'の視点で書きたいと思います。

<はじめに>という前書きを読み始めてすぐに、うわ〜こりゃひどいわ〜というエピソードが出てきました。

著者がイェール大学のロースクールに入学する前、引越し費用を工面するため、床タイルを扱う中規模の会社で働くことになりました。

著者は重いタイルを輸送用のパレットに乗せ、出荷の準備をする仕事をしましたが、重労働のかわりに時給が高く、昇給もあったため、可能な限り長時間働くことにしたそうです。

著者と同じ倉庫係で作業員として働く19歳のボブ(仮称)には、妊娠中のガールフレンドがおり、上司は厚意でそのガールフレンドを事務員として雇い、電話対応をまかせました。

ところが、そのガールフレンドは3日に1度無断欠勤し、"休む時は事前に連絡するように"と繰り返し注意され、数ヶ月で辞めたそうです。

ボブも週一で欠勤するほか遅刻の常習犯で、1日に3〜4回もトイレにこもる始末。

ボブは結局解雇されることになりましたが、それを知ったボブは上司に詰め寄ったそうです。

辞めていくのはボブだけではなく、著者が働いた短期間に、少なくともさらにふたり(そのうちひとりはボブのいとこ)が、辞めさせられたか、自ら退職したそうです。

ここで著者は、あまりにも多くの(ヒルビリーの)若者が重労働から逃げ、支えるべき家族がいても、条件のよい健康保険付きの仕事を簡単に捨ててしまう、と語っています。

一般的に、'ウェルフェア・クイーン'(福祉の女王)といえば、'公的扶助を受けながらも、怠惰な生活をする黒人女性(母親)'という偏ったイメージがあるそうですが、ノンノン、白人だって同じだよ、と著者は主張しています。

 

<はじめに>のすぐ後の、<第1章 アパラチアー貧困という故郷>では、こんなエピソードあがありました。

著者のおじさん、祖母の兄弟のひとりは、若い頃に故郷のケンタッキー州ジャクソンを離れ、建築用木材の会社を興して成功したためか、普段は感じがよかったそうですが、ヒルビリー気質というか荒々しい気性が隠れていたそうです。

おじさんの会社に荷物を届けに来た大柄の赤毛のトラック運転手から"sonofabitch"と言われたため、おじさんは"そういう言い方は止めてほしい"と穏やかに言いました。

しかし、その運転手は同じ言葉を繰り返したため、おじさんは運転手をトラックから引きずり下ろして気絶するまで殴り、電動のこぎりでおなかを傷つけたのです。

運転手は出血して病院に運ばれ、一命をとりとめたそうですが、運転手もアパラチアの男だったので、警察に相談することもなければ、おじさんを告発することもありませんでした。

運転手自身が、母親を侮辱されるのがどういうことなのか、わかっていたからだそうです。

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418ページのわずか35ページまでに、上記のエピソードが登場しましたが、'大柄の赤毛の男'、’トラック運転手’、’sonofabitch'、激しい暴力…

これって、『Elvis:What Happened?』の世界観と似てません!?

いえ、レッド/ソニー・ウェストやデイヴ・ヘブラーが解雇された際に、ヴァーノン・プレスリーに怒鳴り込んだかどうか、私は知りませんよ(笑)

著者の祖母は、いつも銃を隠し持っていたそうですし、他にも家族を大切にするところとか、『Elvis:What Happened?』を連想させる内容がいくつもありました。

エルヴィスや仲間たちが、'スコッツ=アイリッシュ'の子孫かどうかは分かりませんが、ヒルビリー・エレジーから類似性を強く感じました。

ということで、書籍『ヒルビリー・エレジー』の感想はこれで終わります。

またね。