こんにちは、ずず(zuzu)です。
『Elvis:What Happened?』の感想、先日の記事の続きを書きますね。
1955年、エルヴィス・プレスリーは南部の人気者となり、巡業先はメンフィスから遠く離れたルイジアナ、フロリダ、アーカンソー、テキサスの各州まで広がりました。
レッド・ウェストは長距離ドライバーとしてノーギャラで貢献しましたが、貴重な経験ができたためお金は問題ではなかったと言っています。
皮肉なことに、レッドはエルヴィスより音楽の仕組みを知っていて、楽譜を読むことができ、曲作りにおいてはベストセラーになった曲もありました。
ところがエルヴィスは、楽譜を少しも読まないし、不思議なことに、四方八方を飛び回るのにダンスも特別上手ではないと、レッドは言います。
しかし、エルヴィスは歌うときのタイミングの感覚が生まれもって抜群で、広い声域を持っていますが、それだけでなく、
And he would surprise the hell out of me whenever he got on a piano.
Dunleavy, Steve . Elvis: What Happened? (p.129). Ballantine Books. Kindle 版. より引用
とレッドは続けています。
"he played the piano."
ではなく、
"he got on a piano."
とレッドが語る意味の違いが私にはわかりませんが、
"エルヴィスはピアノを上手に弾いては、レッドをびっくりさせていた"
"エルヴィスのピアノが上達するたびに、レッドはひどく驚かされた"
といった感じなのでしょうか。
楽譜を読まないのに器用にピアノを奏でるエルヴィスには、シナトラのように天賦の才が備わっている、とレッドは評しています。
それにエルヴィスは、音が正確かどうかを聞き分けることについて、指揮者なんかよりよほどいい耳を持っていたと言っています。
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エルヴィスの黎明期に運転手をしていたレッドは、無給でしたがそれに満足していました。
ですが、エルヴィスは楽譜も読めないし、ダンスも上手くないなど、思うところはあったのでしょう。
しかし、そんな思いをどこかへ追いやってしまうほど、レッドはエルヴィスの音楽の才能を日々目の当たりにして、時に驚愕していたのだと思います。
歌が上手な人と、容姿、特に顔のいい人は、ポピュラー音楽の世界では明らかに優位です。
この後に少し出てきますが、楽器演奏は、長期にわたる地道な努力が必要なのに、代えはいくらでもいるというのが一般的な考え方なんですよね。
昔、地元でフラメンコの一座の公演を鑑賞して、踊りとギターに感動したことがありました。
特にフラメンコギターを生で聴いたのは初めてだったので、感激しました。
ところが、テレビか何かで、フラメンコで重要なのは歌だと知りました。
スペイン語の訳のわからない民謡のような歌がメイン?
美しく情熱的な舞や、哀愁漂うギターの音色より、あのオッサンの変な歌が上?
私のフラメンコの価値観に混乱を来しました(笑)
これも昔の地元での話ですが、小さなフィリピンパブや韓国パブでは、たいてい1人の女性歌手と5人前後の女性ダンサーが一緒に働いていました。
女性歌手は店の中心的存在で、ダンサーたちとは一線を画していると感じました。
ダンサーたちのほうが若くて綺麗でも、歌手にはとても気を使っているようでした。
どの歌手も自信満々でプライドが高そうに見えましたが、さすがに歌は上手かったです。
歌手になるには天賦の才が必要で、努力ではどうにもなりません。
それだけ歌が上手く、加えて容姿がいいというのは、売れても売れなくてもすごいことで、それに運とか、時代の波にピタッとハマった人だけが、スターになれるんですよね…
と毎度同じことを考えてしまうので、ここまでにします。
またね。