ずずぶろぐ

ていねいでない暮らし

【本/推し】『ELVIS What Happened?』第9章の感想など<その8>

こんにちは、ずず(zuzu)です。

今日も『Elvis:What Happened?』の第9章の感想の続きを書きます。

1955年の約1ヶ月、レッド・ウェストは、断続的に行われたエルヴィスの1夜限りのショーに同行しました。

そのころになると、エルヴィスは人気者になっていて、ちょっとだけ羽目を外し始め、かなり自信をつけてきたそうです。

女の子たちは突然、エルヴィスをマーロン・ブランドジェームズ・ディーンといっしょくたにして、ステージ上のエルヴィスにキスしようとするようになりました。

このときレッドは、時代遅れのケンカに巻き込まれることを感じていました。

 

当時の南部では、女の子が立ち上がってステージ上のエルヴィスにキスしようとするということは、連れの男にケンカを売られているようなものでした。

自分が揺れ動いたり、飛び跳ねたりするのに反応する女の子たちを見たエルヴィスは、本当にキスを要求したとか。

女のたちが興奮して手に追えなくなると、ボーイフレンドたちは座ったまま腹を立てていたそうです。

当時の南部では(←本日2度目)、結婚前の良家の子女が口を開けてキスされることは、狂気の沙汰でした。

そういったファンのために、エルヴィスはほぼ裸になって求めに応じ、女性たちに同様のことを求めましたが、それはあまりにギョッとするようなことでした。

エルヴィスの狂信的なファンは、まだマスコミからバッシングされていなかったということですが、高校の巡回や地元の公会堂では、彼女たちはステージから締め出され、エルヴィスは記念すべき人物としての立場を保ったそうですが。

 

そのころレッドは、鉄拳を忘れるなと本能で感じたそうです。

なぜなら、エルヴィスは暴力的な妬みの対象となりつつあったからでした。

そして、レッドの本能は正しかった。

エルヴィスは何が起こっているのかわかっていなかったので、レッドを自分の護衛にしたくなかった、とレッドは言っています。

エルヴィスは身振りで、一緒に巡業に行こうと言っただけでした。

しかし、レッドはずっと以前から、自分の仕事はエルヴィスの世話をすることだと気づいていました。

しかもレッドは、その仕事を自ら進んで喜んでやっていたと語っています。

ーーーーーーー

エルヴィスの女性信者たちは、エルヴィスの前で熱狂することが娯楽で、ある種の快楽になっていたかと想像します。

エルヴィスの面前では、羽目を外しても容認される雰囲気があったのだと思います。

エルヴィスのショーは、ファンの熱狂が絵になるというか、華を添えていると思うのですよね…

現代でも、エルヴィスがステージからファンに何度もディープなキスをしているのは、少なからず嫉妬し驚きましたけど(笑)

 

レッドが自主的にエルヴィスの身の回りの世話とボディガードを務め、それを天職のように感じていたことは、ちょっと感動的でした。

エルヴィスは母性本能をくすぐるだけでなく、男性からも心から自然に役に立ちたいと思わせる魅力があったのでしょう。

とはいえ、後年、その魅力は人をだますときに使われるようになったと、第8章の最後に言及されていましたが…

またね。