こんにちは、ずず(zuzu)です。
前回は『エルヴィスの真実 ゴスペルを愛したプレスリー』(2016年)を読了した報告と、感想を少々綴りました。
気ままなエルヴィス
今回は、大勢の取り巻きに囲まれていたエルヴィスが孤独を抱えていたのかについて、勝手に考察しようと思います。
本書の著者ジョー・モスケイオ氏はイタリア系で、父親が牧師、ピアノの専門教育を受けた人物です。
後に著者は、ジ・インペリアルズというグループに所属し、エルヴィスのレコーディングのバックコーラスを務めた縁で、ジ・インペリアルズはラスベガスのインターナショナル・ホテルでのショーの最初のバックコーラスを担当することになりました。
インターナショナル・ホテルのショーの仕事は、1日2回、午後8時開演と真夜中開演でしたが、すぐに仕事がショーだけではないことに気づいたそうです。
ショーが終わった後は上階のスイートルームで、エルヴィス主催のゴスペルを歌う会に、夜が明けるまで付き合わさせられるということに。
スイートルームはいつも大勢で賑わっていたそうで、招待客の中には著名人もいて、その中にはカーペンターズやママス&パパスのママ・キャスもいたとのことで驚きました。
エルヴィスはビジネスとしてのショーを終えた後は、2次会でその日の気分で好きなゴスペルを気の置けないメンバーで歌いたかったのでしょうね。
それがストレス解消だったのかもしれません。
このことを著者は素晴らしい体験ができたと記していますが、一方で、
スタンプスのエド・イーノックは次のように述べています。「毎晩、ショーが終わると、一体何時であろうが、私たちは上階へ行き、エルヴィスの友人たちのために歌ったものでした。」
いのちのことば社フォレストブックス発行 ジョー・モスケイオ著 中嶋典子訳『エルヴィスの真実 ゴスペルを愛したプレスリー』(2016年)より引用
と、他人の言葉を記載しています。
本音としては、たまにならまだしも、ショーで疲れた後に毎晩、しかも長時間付き合わされるのは、過酷だったということでしょう。
衝動性についても考えてみた
エルヴィスが何かしたいとき、例えば麻雀をしたければ(あり得ないけど、笑)、メンフィスマフィア(エルヴィスの取り巻き兼ボディカード)がすぐ集まってくる。
レジャーなんかはそんな感じで、いつでも仲間がそばにて、自家用飛行機も待機して、エルヴィスの気まぐれに対応していたのだと思います。
ゴスペルを歌いたいときには、さすがにメンフィスマフィアがコーラスや伴奏というわけにはいかないので、音楽のプロ集団を囲い込んでおく。
でもそれって、エルヴィスの衝動性を助長することになり、徐々に欲望のコントロールができなくなって、メンタルが不安定になっていったのではないかと。
つながるべきは同じ立場にいる人
エルヴィスがつながるべき人は、極論ですがジョン・レノンだったのではないでしょうか。
もしくはジョン・レノン級の大物著名人。
本書には記述がありませんでしたが、wikiに記載のある”ビートルズの会見”によると、友好的にビートルズに接したエルヴィスに対し、ジョン・レノンが大変失礼なことを言い放ったことで、エルヴィスが大層立腹したとのことです。
ジョン・レノンは単なる皮肉屋だったのか知りませんが、その言い草はないだろうと私は思います。
歴史を変えることができるなら、エルヴィスとジョン・レノンとの間に真の信頼関係を築けたなら、エルヴィスは心の安定を得られたのではないか。
いくら取り巻きを集めたところで、対等でない彼らは友人とは言えない。
自分と同等の立場の人との心のつながりでしか、孤独からは逃れられないのだと思います。
そういう意味では、母親や妻、恋人など、女性の存在は大きいと思うのです。
エルヴィスの絶望
著者はエルヴィスの人生においての深い絶望を、
・母の(若すぎる)死
・プリシラとの離婚
・晩年に近しい人物が去り、暴露本を出版したこと
としています。
全て、原因は人間関係、お金じゃないんです。
著者は、エルヴィスから少し離れた立ち位置だったこともあり、的確に手助けすることができなかったことを深く悔いています。
エルヴィスは最後、ゴスペルを歌いたいという気持ちすら失っていたとのこと。
健康がすぐれなかったことが大きかったのではないかと推測しますが、エルヴィスがゴスペルに興味を持たなくなったことは、音楽を共有した仲間としてとてもつらく悲しいことだったでしょう。
またね。