ずずぶろぐ

ていねいでない暮らし

映画『コーダ あいのうた(2021年)』ヤングケアラーでギフテッドだったらどうする?

)こんにちは、ずず(zuzu)です。

バレンタインデーまでにレビューを上げようと思いつつもホワイトデーが過ぎ、まもなく第94回アカデミー賞授賞式が始まります…

 

さて、『Coda』ですが、映画館の壁にステキな空色のなんだかイカしてるパンフが貼られていて、そこには”アカデミー賞最有力!”とありました。

映画館が推してる作品のようで、掲示物をよく見ると、挿入曲にタミー・テレル&マーヴィン・ゲイのあの、あの名曲『You're All I Need to Get By』があるではないですか!

zuzuにとって観るしかない作品だったのです(大袈裟)

 

この作品は映画『エール!』のリメイク版でして、zuzuは評判のいい『エール!』を観ようと何度も思いつつも、フランス語だし、好きな俳優さんが出ているわけでも、知っている監督というわけでもないので、決定打がなくて見送っていたのでした。

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『Coda』の主人公、女子高生ルビーは、ろうあ家族の中でたった一人の健常者で、必然的に家族の通訳です。

通訳だから時に恥ずかしいことも伝えなければなりませんし、ルビーがいなければ家業の漁業は成り立ちません。

朝3時に起きて、目覚ましが聞こえない父と兄を叩き起こし、漁に出て、商人に採れた魚を売り捌き、それから通学。

なんとも過酷な生活で、まさに”ヤングケアラー”なんですね。

そして”ギフテッド”なのだけど、その才能を家族は理解できないという皮肉。

多忙で勉強どころではないルビーですが、自らの意志で合唱部に入部します。

字幕では”合唱部”でしたが、日本の合唱部というより、聖歌隊ではないのですがクワイアってイメージで、グリークラブのようにダンスや演劇はなく、のど自慢たちが集まる部活です。

そこで顧問の先生がルビーの歌の才能に気づくわけですが、課外授業を受け持つ先生って、自分の専門分野を生徒に広め、高めたいというだけでなく、ギフテッドを発掘する使命もあるのでしょうね。

その顧問がルビーと男子生徒にデュエットを命じ、課題曲としたのが『ユア・オール・アイ・ニード・トゥ・ゲット・バイ』

ルビーの自室で歌の練習中に、濃厚な歌詞に気恥ずかしくなったふたりが、背中合わせになって歌うのですが、別の部屋から大きな音がして、もっと恥ずかしいことが起こるのです。

男子生徒と顧問から、

「君の家族は知っていたよ」

と言われたくらい、ルビー一家はにぎやかで悪目立ちしているくらいなので、普段から物音がすごいのです。

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ストーリーは終わってみればいたって平凡でした。

ですが、ルビーの純真さと、少し乾いた瑞々しい歌声と、絶景が、心に沁みました。

涙腺崩壊の作品とのことでハンドタオルを持参しましたが、ホロっときたくらいで、むしろ男性の観客が爆笑していたくらいのユーモラスな作品です。

映画ならではの演出にもハッとすると思いますので、ぜひ気軽に鑑賞してみてください。

 

またね。

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2022.3.28追記

『コーダ あいのうた』第94回アカデミー賞作品賞受賞しました!

映画評論家の町山智浩氏の本命でしたね、すごい!!